第38回日本自己血輸血・周術期輸血学会学術総会の開催にあたって
JA愛知厚生連 豊田厚生病院 整形外科・脊椎脊髄センター
辻 太一
第38回日本自己血輸血・周術期輸血学会学術総会を2025(令和7)年6月13日(金)、14日(土)に名古屋市の愛知県産業労働センター(WINC AICHI)で開催いたします。1988(昭和63)年から始まり今回で38回を数える歴史のある当学会学術総会の会長を担当させて頂き大変光栄に存じます。
今回の学術総会のテーマは「自己血輸血を推す〜1周回って新しい !〜」とさせて頂きました。本学会が自己血輸血研究会として発足した昭和63年は私が大学へ入学した年であります。それから40年近く経ちました。昭和から平成、令和と3つの時代を経て医療を取り巻く環境は驚くほど変化し医学における知見、技術も目を見張る進歩を遂げております。分厚くなった医学生の参考書に驚いたのも既に一昔前で今はタブレット端末です。私が専門とする脊椎外科分野においてもMRIが普及し診断が正確となり脊髄モニタリングの確立で術後神経障害の危険性が著しく減少しました。さらに昨今ではナビゲーションやロボットの導入などで手術の低侵襲化が進み、出血に関しても機器や止血剤の進歩により危険性は低減されています。このような傾向は多くの診療科でも同様で以前より自己血輸血を用いることは少なくなってきています。一方で、少子高齢化が進み輸血が必要な高齢者の増加と献血可能人口の減少により血液製剤の需給が逼迫する可能性、Patient Blood Managementの観点からも自己血輸血を維持発展させて行くことは重要であると考えます。
さて、時代は令和であります。令和は「推し」文化です。若手医師に自己血輸血のことを話すと非常に興味を示してくれます。また、患者さんやご家族に自己血貯血の話をすると皆さん希望されます。つまり「自己血推し」なのです。彼らには自己血輸血は「新しい」新鮮な響きの様です。本学会は、医師のみならず自己血輸血、周術期輸血に関わる多くのメディカルスタッフが集い、勉強できる場であります。是非とも皆で新しい自己血輸血・周術期輸血を学び語りましょう。
本学会会場は名古屋駅から地下街を通って約5分と大変便利な立地です。近隣には名古屋飯を食せる飲食店が並び手頃なホテルも多くあります。また名古屋には尾州徳川家の居城であった名古屋城、日本最大の名古屋港水族館、ジブリパークなど見所も沢山あります。ここ名古屋の地で皆様にお会いできることを心待ちにしております。