第35回日本自己血輸血・周術期輸血学会学術総会の開催にあたって

2021年8月
第35回日本自己血輸血・周術期輸血学会 学術総会会長
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院 輸血部長
佐藤 忠嗣
 2022年3月11日(金)、12日(土)の2日間、横浜市にございます、神奈川県民ホールで第35回日本自己血輸血・周術期輸血学会学術総会を開催させて頂くこととなりました。私には、いささか荷の重い役周りですが、大変光栄に存じます。
 2019年4月には学会名が”日本自己血輸血学会”から” 日本自己血輸血・周術期輸血学会”に変更となりましたが、その後コロナ禍に陥り、2020年および2021年の本学術総会はWeb開催となり、五輪も1年延期されて無観客での開催となりました。この間、献血不足への懸念や待機的手術の延期、外来受診の自粛や制限、COVID-19対応への医療者や入院ベッドの配分など、医療には未曾有の試練が振りかかりました。
 自己血輸血、特に貯血式については、輸血医療への量的貢献、免疫学的変容や輸血副反応の軽減といった有用性が指摘される一方、コストが高い、患者負担が増す、廃棄が多い、同種血輸血の安全性が飛躍的に向上しているといった問題点も指摘されてきました。しかし、自己血には希釈式や回収式もあり、特に本邦の自己血は、全て自院で計画し調達できるという大きな利点があります。同種血輸血回避戦略の一つとして、周術期を通じた自己血の使用を考える必要があると思います。コロナ禍を経験した今、周術期輸血という枠組みの中で、もう一度自己血輸血の有用性や問題点について問い直してみたいと考え、学術総会のテーマを「周術期輸血としての自己血輸血の原点- コロナ禍を経験して-」とさせて頂きました。
 状況によってはWebの利用も併せたハイブリッド形式での開催となる可能性もありますが、できれば自己血輸血を志す皆様と、虎の門ヒルズ以来3年ぶりにお会いし、旧交を温め、様々な取り組みについて語り合えることを大変楽しみにしています。横浜にはTVや映画のロケ地となった場所が数多くあります。学会場からは山下公園、氷川丸、中華街、元町、大さん橋や明治大正期の西洋建築が残されている関内エリアが徒歩圏内です。みなとみらい地区にも隣接しており、大いに学び、語り、食べと満喫して頂けるものと確信しています。COVID-19が治まり、多くの皆様が参集されますように願って止みません。